kitaabooksの雑記林

どこにでもいる大学生が読書感想文を書くのであります。

文章読本(著:谷崎潤一郎) ①文章とは何か

今回は谷崎潤一郎に文章の書き方を学びます。文章を書くための大切なエッセンスが詰まってましたので、2回に分けてご紹介したい次第です。

 

文章を書く極意は文筆を生業とした小説家に習うのがふさわしいでしょう。私であればブログを書いていますし、何か学び取りたいと思います。

 

 

文章読本 (中公文庫)

文章読本 (中公文庫)

 

 

 

それでは本題に入りましょう

本書はプロの物書きやその類いの人のための文章読本でないということを始めに断ってあります。普通の人が文学を嗜み、自分で文章を書く際に生かせるような内容です。

 

 

言語は万能ではない

今回は本書の1章を扱います。ここで著者は日本語の特徴から文章はどうあるべきかを様々なスタイルを挙げて評価しながら述べています。

 

 その中でも私は自分にとって意外なフレーズに触れました。

言語は万能なものでないこと、その働きは不自由であり、時には有害なもであることを、忘れてはならないのであります。(p.20)

 言葉は思考を表現する機能がある。しかし逆に思考を一定の型に入れてしまうので、感覚や思考を正確に表しきれないこともあるという。故に万能ではないというのです。

 

私は案外「エモい」だとか新語が毎年出てくるものだから、造語を行う事で言葉には思考を言い表せる可能性があると思っていました。しかし料理のおいしさはどれほど頑張っても他人とは共有しきれないものです。たしかに言葉は万能ではないでしょう。

 

 

実用的、逸れ即ち藝術的

現代において文章に芸術性よりもそれがいかに他者に伝わるかを重視しがちですが、ここでまた私が気になったフレーズをもう一つ紹介します。

最も実用的に書くと云うことが、即ち藝術的の手腕を要する(p.28)

 

芸術的というのは、簡潔な表現でありながら、視覚にも聴覚にも残ることが条件であるようです。そのために古典の精神に復ることが必要だと言います。

 

古典では同じ言葉でも使う場面毎に適した意味を持たせ、意味に広がりをもたせる。例えば「あはれ」というのも強い心の動きを指すもので、その指す意味は文脈に乗せてこそイメージできる。

言葉の他に古文や漢文には独特のリズムがある。広い意味を持つ言葉とそのリズムで読者に想像させる。

このように古典への回帰が読者に内容を分からせて長く記憶させる文の秘訣なのだと云います。

 

今やTwitterなど少ない文字数で効果的に考えを伝えることも必要になりますから、ためになるフレーズではないでしょうか。ただ、個人的には実用と芸術はやはり重ならないと思っています。あえて曖昧な言葉を用いて相手に受け取り方を委ねるのは魅力的だが実用からかけ離れるからだと思うからです。

 

次回は文章が上達する方法について共有します。

読んでいただきありがとうございました。

 

ではまた!