難民問題 ーイスラムの動揺、EU の苦悩、日本の課題ー
難民問題 - イスラム圏の動揺、EUの苦悩、日本の課題 (中公新書)
- 作者: 墓田桂
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2016/09/16
- メディア: 新書
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墓田桂の『難民問題ーイスラムの動揺、EU の苦悩、日本の課題ー』
第4章だけでも読んでほしい。本当は第1章で難民を定義した上で読み進めていくのが望ましいのでしょうが、最悪第4章だけでも。
というのも外国人嫌悪といった感情論ではなく、体験に裏付けされた現実的な視座で日本の難民問題が語られています。
それに、「日本人なら日本の将来について考えないとマズいんじゃない」という気がします。
日本の難民問題について、
著者の立場ははっきりしています。
日本の難民受け入れ数は低いので、日本は閉鎖的で貢献度が低いといった海外からの評価があります。
それとは逆に著者は今の受け入れ状況を評価しています。実は消極的とも言える日本の難民認定数の数字は妥当だというのです。
というのも偽装難民の申請が多数を占めており、本当に「難民」といえるのはそれぐらいだったそうです。
これは著者が難民審査参与員を担ったという独自の経験に由来する意見ですから、信用できる根拠でしょう。
(難民審査参与員とは:申請者が難民不認定となった時、判断に不服であればこの方々が本当に難民かどうかを中立的に審査し、法務大臣に意見書を提出してくれます。)
難民問題に関する議論は理想主義に陥り易いとあります。確かに難民の写真だとか映像は見る人に訴えてくるものがある。 ただ、その感情に流されて議論してしまうところに待ったをかけるような本だったと思います。
今回も読んでいただきありがとうございます
ではまた!